M&Aの譲渡スキームについて

M&Aの手法

M&Aにはさまざま手法があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。そのため状況に応じて適切なものを選択する必要があります。中でもよく利用されているのが、会社の株式を譲渡し経営権ごとゆずる株式譲渡と、事業の一部及び全部を他社に移動させる事業譲渡です。二つのスキームを比較しながら解説していきます。

譲渡対価の受け取りと税金について

株式譲渡では個人が譲渡対価を受け取ります。証券口座を利用した株式の売買と同様で、譲渡益に対して20.315%が課税されます。譲渡対価の一部を退職金として払い出すことで税金を抑えることができる可能性があります。

事業譲渡では法人が対価を受け取ります。また、課税資産に対して消費税、譲渡益に対して法人税がかかります。ただ、医療法人や調剤薬局の場合、免税事業者であることも多いため消費税はそのまま益税となることもあります。譲渡益に関しても繰越欠損金との相殺、設備投資など経費計上で圧縮することで税金を抑えられる可能性があります。

資産及び債権、債務の引き継ぎについて

株式譲渡では、会社をまるごと譲渡するため資産、債権、債務(簿外債務、訴訟リスクなど偶発的なものも含む)をすべて引き継ぐことになります。そのため、プライベートな資産で譲渡後も使用したいようなものは譲渡前に買い戻す必要があります。

また、事業を運営する上で必要な許認可や、各種契約も代表者変更手続きをするだけで済むことが多く、従業員も引き継げるため手続きが簡単という特徴があります。ただ、従業員が譲渡後に退職する可能性もあるため譲渡の開示は慎重に行う必要があります。特にキーパーソンなどは待遇の強化なども検討すべきでしょう

一方、事業譲渡では資産、債権、債務などは選択して譲渡することが可能なので偶発債務などを引き継ぐ可能性は低いです。しかし、事業運営に必要な許認可や各種契約は新規申請を行う必要があるため手続きが煩雑になりやすいという特徴があります。

従業員を引き継ぐにも一度退職してから再雇用する必要があるため、退職金の精算や有給休暇の消化(買取)なども発生する可能性があります。また、本人の同意が得られない場合、「近隣に他の受け入れ店舗が物理的にない」といった理由がない限りは解雇することもできないため開示方法は事前に相談しておく必要があるでしょう。

株式譲渡 事業譲渡
対価の受取 個人 法人
譲渡益課税 20.315% 法人税
資産・債権債務 すべて承継(偶発的なものも含む) 選択が可能
許認可・各種契約 代表者変更等で対応可能 新規申請・契約が必要
消費税 非課税 課税資産に課税
営業権の償却 不可 可(節税効果あり)
従業員 継続雇用 退職手続きが必要(退職金・有給の精算等)

代表的な譲渡スキームをご紹介させていただきましたが、M&Aには他にも様々なスキームがございます。承継の妨げになっていた問題がスキーム次第で解決することも珍しくありません。

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